【2025年6月最新】ストレスチェックサービスおすすめ3選!メリットや選び方を徹底解説

ストレスチェックは従業員50名以上の事業場で義務化されていますが、自社での運用は難しいこともあります。
外部委託サービスを利用するにしても、「どのストレスチェックサービスを選べばいいか分からない」という方も多いでしょう。
そこで本記事では、数あるサービスの中から特におすすめの3社を厳選し、それぞれの特徴・費用感・導入メリットをわかりやすく比較・解説します。
この記事を読めば、自社に合ったストレスチェックサービスを選べるようになります。外部委託を検討している担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
ストレスチェックサービスおすすめ3選を比較
ストレスチェックサービスの外部委託先は多岐に渡り、特徴や料金はサービスやプランによって異なります。ここでは厳選した3サービスの特徴と強みを一覧にまとめました。
おすすめのストレスチェックサービス | 特徴・強み |
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ストレスチェッカー | 初期費用 無料集団分析や追加設問も対応 導入実績8,000社以上 |
ソシキスイッチ | 組織改善PDCA伴走型サービス 紙/Webの57問・80問受検に対応 官公庁・大企業でも採用実績多数 |
ORIZIN | 研修、医師派遣など周辺サービスも提供 直感的なシステム操作と受検率管理機能 14言語以上に対応 |
導入するストレスチェックサービスを選ぶ際の参考にしてください。
ストレスチェッカー/株式会社HRデータラボ

料金プラン | 無料プラン 57問:無料 WEB代行 57問:250円~/人 WEB代行 80問:250円~/人 紙プラン:450円~/人 ※別途基本料 |
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主な機能 | 調査票作成 集団分析 分析結果のコンサルティング 産業医のマッチングなど |
特徴 | 初期費用無料 全プラン厚生労働省のストレスチェック制度に準拠 WEB代行プランと紙プランの併用可 高ストレス部署の原因を特定できる80問版あり |
実績 | 8,400社以上 官公庁・大手企業・病院・大学など |
会社所在地 | 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3丁目13-7 名古路ビル本館4階北 |
ストレスチェッカーは、8,000社以上で利用されているストレスチェックサービスです。シンプルで分かりやすい機能と柔軟性が特徴で、調査は紙面とWeb上の両方で実施できます。設問数は57問と80問から選択でき、すぐに利用可能です。
集団分析のサポートや産業医のマッチングなど、調査後のサポート体制も充実しており、ストレスチェックに関する業務を一任できます。設問の追加や、詳細な調査結果の分析ができるオプションもあり、より深い分析にも対応可能です。
ストレスチェッカーは料金体系もシンプルで分かりやすく、初めてストレスチェックサービスを利用する企業にもおすすめのサービスです。
ソシキスイッチ/株式会社情報基盤開発

料金プラン | WEB版:基本作業費33,000円(~60人、以降1人あたり260円) 紙版:51,000円(~60人、以降1人あたり490円) 57項目と80項目に対応 その他 |
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主な機能 | Web・紙両対応 未受検者管理 面接勧奨自動化 詳細集団分析など |
特徴 | 組織改善PDCA伴走型サービス 紙/Webの57問・80問受検に対応 重要度×達成度マトリクスで課題を可視化 東大発ベンチャーの技術力 |
実績 | 4,800社・150万人利用(2024年実績) 官公庁、大手企業など |
会社所在地 | 〒113-0034 東京都文京区湯島4-1-11 南山堂ビル3階 |
ソシキスイッチは、東大発ヘルステック企業が提供するストレスチェックサービスです。
大きな特徴は、チェックの結果を多角的に分析し、6大指標から組織の強みや課題を明確にする組織診断レポートです。職場環境改善の実現に向け、現状把握から改善案の策定、達成度チェックまでの工程もサポートしてくれます。
全国平均や業種平均との比較ができたり、部署ごとに詳細な分析をしたりすることで、エンゲージメントやハラスメントリスクを推定できます。コミュニケーション量などから組織の状態を可視化することも可能です。企業は自社の課題を客観的に把握し、効果的な対策を講じやすくなります。
紙とWebの両方に対応しており、手書きアンケートの高速自動集計、最短2週間で納品できるスピードもソシキスイッチの強みです(実施完了までは約1カ月)。
ORIZIN/株式会社ドリームホップ

料金プラン | 年額120,000円~(シンプルプラン) ※従業員数やオプションで変動(要問合せ) 無料お試し(1カ月)あり |
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主な機能 | 調査票作成 ストレスチェック実施代行 eラーニング動画配信 産業医とのオンライン面談など |
特徴 | 使いやすさにこだわったシステム画面 集団分析結果の出力も基本料金内で対応可能 高ストレス者のスポットオンライン医師面接 14か国語以上の言語に対応 |
実績 | 日清食品ホールディングス株式会社 法務省 全国健康保険協会など1,500社以上 |
会社所在地 | 〒102-0072東京都千代田区飯田橋1-8-10クリエイトビル |
ORIZINは、使いやすさにこだわったストレスチェックサービスです。スタンダードプランでは専門家がストレスチェックの実施を代行してくれるため、自社のリソースを割かずにストレスチェックを実施できます。
設問は用意されている基本的なもの以外にも、項目の追加も可能で、自社に合わせたストレスチェックの実施が可能です。
さらに、高ストレス者判定が出た従業員に対する産業医のオンライン面談の予約までサポートしています。産業医と対面する必要がないため、心理的なハードルが低く、忙しい従業員でもスキマ時間で面談を受けられます。
また、14か国語以上の言語に対応しているのもORIZINの特徴で、グローバル展開している企業でも利用しやすくなっています。実績も豊富で、安心して利用できるストレスチェックサービスです。
ストレスチェックサービスとは?
ストレスチェックサービスとは、従業員のストレス状況を把握するためのストレスチェックを一括で代行してくれるサービスです。
検査は自社での実施も可能ですが、体制構築や産業医の確保など、専門的な知識とリソースが求められるため、ハードルが高いのが現実です。
外部サービスを活用すれば、専門ノウハウをもとに法令に準拠した対応が可能となり、手間をかけずに精度の高いストレスチェックを実施できます。
ストレスチェックを行う目的
ストレスチェックは、主に以下の3つを目的として行われる検査です。
- 従業員のメンタルヘルスの維持
- 職場環境の改善
- 企業イメージの向上
最大の目的は従業員のメンタルヘルスを守ることです。定期的にストレスチェックを実施することで、精神的な負担を抱えている従業員を早期に把握し、深刻な不調や離職につながる前に適切な対応が可能になります。
企業が自社の傾向(組織全体や部署ごとのストレス度)を分析することで、ストレスの要因を把握し、業務の効率化や従業員満足度の向上など、職場環境の改善に役立てます。
また、ストレスチェックを法令に則って適切に実施していることは、コンプライアンス意識の高い企業として対外的な評価にも直結し、企業イメージの向上にも効果的です。
ストレスチェックは従業員だけでなく、企業にとっても多くのメリットをもたらす制度です。
50名以上の事業所はストレスチェック実施が義務
常時50人以上の労働者が働く事業所では、年に1回以上ストレスチェックを実施することが法律で義務付けられています。(2015年12月施行の改正労働安全衛生法に基づく)
実施にあたっては産業医などの専門職の関与が必要で、必要な対応や労働基準監督署への報告も義務の一部です。制度違反があった場合には、是正勧告などの行政指導を受ける可能性があります。
50人未満の事業所については、ストレスチェック実施は努力義務とされていますが、対象範囲は今後拡大する可能性があります。「50人未満であっても対象とすべき」との議論もされており、小規模事業者であっても、今のうちに体制を整えておいたほうがいいでしょう。※
ストレスチェックの実施方法
ストレスチェックは、厚生労働省が定める57問(または80問)の調査票を用いて実施されます。
実施方法は、Webフォームや紙媒体を使ったアンケート形式で、集めた回答は、産業医や実施者が集計・分析を行います。
結果は本人に個別通知されますが、従業員が安心して正直に回答できるよう、匿名で回答できる体制を整えることが重要です。
高ストレスと判定された場合は、本人の希望に応じて医師面接の機会が提供され、必要に応じて就業上の配慮などが行われます。
ストレスチェックサービスの機能

外部委託のストレスチェックサービスを利用すると、以下のような工程をまとめて任せることができます。
一連の工程を外部に委託することで、社内の担当者の負担が軽減できます。
また、法令に準拠した適切な運用、ミスやトラブルの防止など、対応の質も向上します。
ストレスチェックの実施
まずはストレスチェックの実施です。外部委託サービスによる調査票の配布や回収は、Webと紙を選べるサービスが多いです。
Web実施の場合、従業員はPCやスマートフォン、タブレットなど様々なデバイスから回答します。管理者は回答状況をリアルタイムで確認できます。
未実施者には自動でリマインドメールを送信する機能を備えているサービスもあり、それによってスムーズな調査進行と高い回答率の確保が可能です。
紙の回答票を選択した場合も、配布や回収、データ入力などを代行してくれます。
結果の集計と分析
ストレスチェックの結果の集計作業は、多くのサービスではシステムにより自動化されています。個人レポートや組織全体の集計レポートが迅速に作成され、集計・分析作業における企業側の負担は、ほとんどありません。
分析結果は、職場環境の問題点を特定し改善策を策定するための客観的なデータとして活用できます。
「集団分析機能」のあるサービスを使えば、部署別、職種別、年齢層別など、様々な切り口でストレス傾向を把握することも可能です。
個人のストレス度判定
ストレスチェックの実施後は、回答結果に基づいて個人のストレス度を客観的に判定します。
高ストレスと判定された従業員は自動的に抽出され、産業医との面談が必要な候補者としてリストアップされるため、対応すべきケースを早期に発見しやすくなります。
ストレス度判定は個人だけでなく、部署、年齢、性別といった属性別の分析も可能です。これにより、特定のグループが抱えるストレス要因や健康リスクを可視化し、詳細に把握できるようになります。
こうした組織単位での分析結果は、職場環境の改善や、予防的なメンタルヘルス対策の立案・実行に欠かせない貴重な情報です。ストレスチェックは、単なる調査ではなく、健康な組織づくりのデータとしても活用できます。
アフターケア(産業医との面談やフォロー)
ストレスチェック後のアフターケアも、従業員の心の健康を守るうえで欠かせません。外部委託サービスでは、高ストレス判定された従業員へ面談を案内、産業医との連携、日程調整の代行まで一括でサポートしてくれます。
オンライン面談や相談窓口の案内など、継続的なフォロー体制も整っており、必要な支援へのスムーズな接続が可能です。
サービスによっては、集団分析結果をもとにした職場改善プログラムの提案や、専門家による研修・コンサルティングサービスもあり、従業員個人だけでなく組織全体の改善にも役立ちます。
労働局(労働基準監督署)への報告書作成サポート
従業員50名以上の事業所に義務付けられているのは、ストレスチェックの「実施だけ」ではありません。実施後には、所轄の労働基準監督署への「結果報告」も義務化されています(年1回以上)。チェックの実施と報告は、セットで対応する必要があります。
報告書には、受検者数、面接指導の実施状況、集団分析の有無と活用方法などの記載が必要です。多くのストレスチェックサービスでは、この報告書フォーマットにも対応しています。必要項目の自動集計、入力補助、記載内容に関するアドバイスなどをサポートしてくれます。
サポートを活用することで、報告書作成の手間を大幅に削減でき、法令違反のリスクを避けながらスムーズに提出業務を進められるでしょう。
ストレスチェックサービスを外部委託する7つのメリット
ストレスチェックサービスを外部委託することには、企業と従業員の双方に多くのメリットがあります。具体的には以下の通りです。
それぞれについて、詳しく解説します。ストレスチェックサービスの外部委託を検討する際の参考にしてください。
法律・制度に沿った対応ができる
ストレスチェックサービスを利用する大きなメリットの一つは、法律や制度に沿った適切な対応が確実に行える点です。労働安全衛生法で定められた「ストレスチェック制度」の必須設問を網羅した調査票が用意されており、安心して利用できます。
専門業者サービスが作成した質問票は、厚生労働省が推奨する「職業性ストレス簡易調査票」のフォーマットに対応しており、制度の趣旨に合致した客観性の高いストレスチェックが可能です。
法改正や制度変更があった場合でも、サービス提供事業者が迅速に対応するため、企業側は常に最新の法令に基づいた運用ができ、コンプライアンス(法令遵守)の観点からも安心です。
メンタル不調者を早期に把握できる
従業員のメンタルヘルスの変化を早期に捉え、深刻な問題になる前に対処できる可能性が高まることも、ストレスチェックサービスを活用するメリットです。
高ストレス状態の従業員を定量的データに基づいて把握できるため、産業医との面談や支援策への適切な対応が迅速に行えます。これにより、メンタル不調による長期休職や離職といったリスクを低減し、従業員の健康維持や安定した就労環境へとつながります。
高ストレス状態の従業員の早期発見・対応は、個人の回復を助けるだけでなく、組織全体の生産性維持にも不可欠であり、企業が健康経営を推進する上での重要な取り組みです。
労働者が自身のストレスに気づくきっかけになる
ストレスチェックは、企業が従業員の状況を把握する手段であると同時に、労働者自身が自らのストレス状態に気づくきっかけにもなります。
チェック後にサービスから提供されるレポートや個別フィードバックを通じて、自分のストレス度や要因、心身への影響などを客観的に知ることができるため、セルフケアの意識が高まる効果も期待できます。
必要に応じて専門家のサポートを求めるかどうかの判断もしやすくなり、主体的にメンタルヘルスを管理できるようになることも大きなメリットです。
自分のストレスサインを早期に認識することは、深刻なメンタルヘルス不調を未然に防ぐための第一歩であり、健康でいきいきと働くための重要な要素です。
分析レポートを職場環境の改善に活用できる
ストレスチェックサービスの詳細な分析レポートは、職場環境の改善に役立ちます。個人の結果だけでなく、部署・職種・年齢層といった多角的な集団分析により、組織全体のストレス傾向や特定部署の課題を客観的に把握できます。
社内だけでこれらのデータを収集・分析するには高度な専門知識と多くの労力が必要ですが、外部サービスを活用することで、高精度なレポートの入手が可能です。
可視化された課題をもとに具体的な改善策を立案・実行することで、ストレス要因を根本から解消し、働きやすい職場づくりを推進できます。その結果、生産性の向上や従業員エンゲージメント強化も期待できるでしょう。
診断後のサポートが充実している
診断後のアフターフォローが充実していることも、外部委託のストレスチェックサービスを使うメリットです。集計結果を基に、専門家から職場環境改善に向けた具体的なアドバイスを受けられます。
専門家による助言や、カウンセラー・産業医による面談の手配といったサポートもあり、高ストレス者へのケアや職場環境の改善を効率的に進められます。
ストレスチェックの結果を労働環境の改善につなげるためには、集計結果を適切に分析し、改善施策を行うことが重要です。
属性ごとの分析や集団分析の結果を可視化する機能を使えば、専門知識がなくても組織の課題を把握できます。ストレスチェックを一過性のものにせず、継続的なメンタルヘルス対策へとつなげられます。
自社負担を軽減できる
ストレスチェックを外部サービスに委託することの大きなメリットは、自社の業務負担を大幅に軽減できることです。
ストレスチェックには多くの工数が発生します。調査票の準備・配布・回収、結果の集計・分析、さらに高ストレス者への対応、労働基準監督署への報告書作成などです。
サービスを利用すれば、厚生労働省推奨の調査票テンプレートの利用や、Webを通じた調査票の自動回収・集計が自動で行えるため、担当者の負担が大幅に軽減します。
ほかにも、報告書作成サポートを使えば、企業全体の負担を減らしながら適切なストレスチェックの運用が可能です。従業員側も、PCやスマートフォンから手軽に回答できるため、受検者の負担も軽減されます。
従業員の心理的安全性が担保される
ストレスチェックサービスを利用することには、従業員が安心してストレスチェックを受検できるようになるメリットもあります。
ストレスチェックは、従業員の率直な回答があってこそ正確な結果が得られます。しかし、社内の人間関係や評価への懸念から、正直に回答しづらいケースも少なくありません。また、自身のデリケートな情報を社内に知られたくないと感じる従業員もいます。
ストレスチェックサービスを外部委託することで、結果の取り扱いを一部の担当者や産業医等に限定できます。「心の状態」というデリケートな個人情報を、社内の人に知られる不安を回避できることも、外部委託のメリットです。
心理的安全性が保たれることで、従業員は安心してありのままの回答をしやすくなり、より実態を反映した結果が得られるでしょう。
ストレスチェックサービスを外部委託する際の費用や相場

ストレスチェックサービスを外部委託する場合、以下の費用がかかります。
これらの費用は、Web/紙の回答方法や、提供するベンダー、必要な機能の範囲によっても異なります。
ここでは、それぞれの費用の平均的な相場を紹介します。具体的な金額を算出するには、必ず業者に見積もりを依頼して確認してください。
委託実施費用
ストレスチェックの委託実施費用は、主に従業員一人あたりにかかる費用で計算されるケースが多いです。
一般的な相場としては、300円~1,000円程度(1人あたり)となっています。この費用には、質問票の配布(Webまたは紙)、回収、データ集計、個人への結果通知といった基本的なストレスチェックの実施業務が含まれます。
従業員数が100人の事業所であれば、3万円から10万円程度が目安となります。(紙版では追加費用が必要)
ただし、最低利用人数が設定されている場合や、受検者数に応じて単価が変動する料金体系を採用しているサービスもあるため、契約前によく確認することが重要です。
初期導入費用
ストレスチェックサービスを導入する際には、初期導入費用が発生する場合があります。初期費用の相場は、無料から15万円程度と幅広いです。
初期導入費用には、システムのアカウント設定、管理者向け操作研修、既存の従業員データの登録サポートなどが含まれることが一般的です。
初期費用が無料のプランやサービスもありますが、設定を自社で行う必要があったり、サポートが限定的だったりする場合もあります。
一方、有償のサービスでは、専任担当者による導入支援やカスタマイズ対応などが提供されることもあります。企業の規模やITリテラシー、求めるサポート体制によって適切なプランを選択しましょう。
システム利用料
クラウド型のツールでは、ストレスチェックサービスを利用するための「システム利用料」が発生するサービスが一般的です。
月額または年額で設定されており、月額の場合、1ユーザーあたり50円から400円程度が相場です。年間利用料としては、5万円から40万円が目安です。システム利用料には、システムの保守運用費、基本的な問い合わせサポートなどが含まれます。
回答数や利用する機能に応じて料金プランが細かく分かれている場合もあるため、自社のニーズに合ったプランを選ぶことがコストを最適化する上で重要です。
オプション費用
ストレスチェックサービスには、基本的なストレスチェックに加えて、さまざまなオプションが選べるサービスがあります。追加すると、実施費用やシステム利用料以外の「オプション費用」が別途発生します。
例えば、より詳細な集団分析レポートを作成するオプションの相場は、20,000〜30,000円(1グループあたり)程度が一般的です。他にも、紙媒体での調査票配布を希望するときの追加費用や、帳票の印刷・送料、発送代行手数料が必要になることもあります。
また、高ストレスと判断された方に対して産業医や精神科医による個別面談を実施する場合、その費用相場は15,000円から40,000円程度(1回30分から60分)です。
これらのオプションは企業のニーズに合わせて選択できるため、必要なサービスを検討し、総費用を把握することが大切です。
ストレスチェックサービスの選び方・比較ポイント
ストレスチェックサービスを選ぶ際は、自社のニーズや予算に合うかという「企業視点」と、従業員が安心して利用できるかという「従業員目線」の両方から比較検討することが重要です。ここからは、具体的な比較ポイントを解説します。
【企業視点】選び方・比較ポイント
企業がストレスチェックサービスを選ぶときには、次のポイントを重視します。
特に効果的な改善施策の提案や、カウンセラーや産業医の派遣まで依頼したい場合は、フォロー体制やサポート体制についても確認しておきましょう。
費用(導入コスト・料金プラン)
ストレスチェックサービスを選ぶ際は、費用が予算に合っているかを確認します。基本的に費用が安いほど導入しやすいですが、安価なサービスはサポート体制が不十分であったり、個人情報の取り扱いに不安が残ったりする場合があります。
一方で、調査の設問数が多かったり、サポート体制が充実していたりするサービスは料金が割高になる傾向があるため検討が必要です。
自社に必要な機能や求めるサポートを明確にし、複数のサービスを比較することが重要です。多くのサービス提供企業では無料で見積もりを取得できるため、予算とニーズのバランスが取れたサービスを選びましょう。
セキュリティの信頼性
ストレスチェックでは、従業員の氏名、所属、健康情報といった非常に機微な個人情報を取り扱います。そのため、サービスのセキュリティ体制が信頼できるかは、選定における最重要ポイントの一つです。
具体的には、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証である「ISO27001」やプライバシーマーク(Pマーク)の取得などです。また、アクセス権限の適切な管理や不正アクセス対策が講じられているかなども確認しましょう。
データの保管場所や管理体制、個人情報保護法への準拠状況も重要なチェック項目です。
これまでの導入実績
ストレスチェックサービスを選ぶ際は、これまでの導入実績を必ずチェックしましょう。実績は、そのサービスの信頼性や運用ノウハウを測る重要な指標です。
特に注目したいのは、自社と同じ「業種」や「規模」での導入例があるかどうかです。業界特有の働き方や課題を理解している事業者であれば、より的確なサポートが期待できます。
具体的なケーススタディが公開されていれば、導入後にどのような課題を解決できたのか、どんな効果が得られたのかを、自社に置き換えて具体的にイメージできます。
また、長く選ばれ続けているサービスは、品質の安定性やサポート体制の充実という面でも安心材料になります。 導入実績は「件数」と「自社との相性」に注目して、総合的に判断することが大切です。
無料トライアルの有無
ストレスチェックサービスを選定する際、無料トライアルの有無も比較のポイントとなります。
実際に操作画面を試すことで、管理者側の使い勝手(従業員登録、進捗管理、結果確認など)や、従業員側の回答のしやすさ(UI/UX、マルチデバイス対応状況など)を具体的に確認できます。
また、どのような分析レポートが出力されるのか、サポートの質はどうかといった点も、トライアル期間中に見極め可能です。自社の運用フローに合うか、必要な機能が備わっているかを事前に確かめられるため、導入後のミスマッチを防ぐのに役立ちます。
トライアルがない場合でも、デモンストレーションを依頼して詳細な説明を受けるようにしましょう。
【従業員視点】選び方・比較ポイント
ストレスチェックサービスを選ぶときには、企業だけでなく「従業員視点」でも比較することが大切です。具体的な比較ポイントは次の4点です。
操作のしやすさや回答のしやすさ、フィードバックの分かりやすさなどは、受検率や信頼性に大きく影響します。従業員にとってストレスなく受けられる設計かどうかも、サービス選定の重要な基準の一つです。
質問項目の信頼性
従業員がストレスチェックを受ける際には、質問内容に対する信頼感が非常に重要です。
国が推奨する「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」や「新職業性ストレス簡易調査票(80項目)」など、科学的根拠に基づいて標準化された質問票を基本としているサービスかを確認しましょう。
また、質問の意図が明確で分かりやすく、回答に迷うことが少ないか、過度にプライバシーに踏み込んだ内容ではないこともポイントです。
従業員が「この質問に答えることで自分の状態が正しく伝わる」と感じられるような、透明性と妥当性のある質問項目であることが、正直な回答と検査結果の信頼性につながります。
受検方法が選択できるか
従業員視点でストレスチェックサービスを選ぶ際のポイントは、受検方法を選択できるかという点です。サービスによっては、Webと紙面の両方で受検できます。従業員全員にPCを配布していない企業の場合は、両方の受検方法を選択できるサービスのほうがよいでしょう。
また、従業員が外出する機会が多い企業の場合、PCや紙面では従業員が回答する時間をとれないことも少なくありません。スマートフォンやタブレットでも受検できるサービスを利用すれば、従業員が外出先でもストレスチェックに回答できるようになり、より効率良く調査票を回収できます。
ストレスチェックサービスを選ぶ際には、自社の環境に合った受検方法を選択できることが重要です。
サポート体制の充実度合い
ストレスチェック後のサポート体制が万全であることも、従業員にとっての安心感につながります。
高ストレスと判定された場合、産業医やカウンセラーとの面談が推奨されますが、周囲の目を気にして面談を躊躇する従業員も少なくありません。
面談前に気軽に相談できる窓口を設けたり、匿名性を担保したりすることで、従業員が面談を受けやすい環境づくりを支援してくれるサービスもあります。
また、結果に対する丁寧な説明や、セルフケアに関する具体的なアドバイスが受けられるかも重要です。従業員一人ひとりが安心して、メンタルヘルスの維持・改善に取り組めるような、きめ細やかなサポート体制が望ましいでしょう。
対応言語(外国語にも対応しているか)
グローバルに事業展開している企業や、外国籍の従業員が多く在籍する企業では、対応言語も比較ポイントになります。多言語に対応したストレスチェックサービスが受けられるか、申し込み前に確認しましょう。
母国語ではない言語での質問は、意図を正確に理解できなかったり、微妙なニュアンスが伝わらなかったりするため、従業員のストレス状態を正しく把握できない可能性があります。
英語、中国語、ポルトガル語、ベトナム語など、自社の従業員構成に合わせて必要な言語を確認します。また、単に翻訳されているだけでなく、文化的背景を考慮した自然で分かりやすい表現になっているかも要確認です。
母国語でアンケートに回答できるサービスを選ぶことで、従業員が安心してストレスチェックを受けられることは受検率の向上にもつながります。
ストレスチェックの導入〜実施までの5ステップ

ストレスチェックサービスの導入が正式に決定したら、いよいよ社内体制の整備と具体的な準備に着手します。
ここでは、ストレスチェックの導入検討から実施後のフォローアップまでを、主要な5つのステップに分けて解説します。
各ステップのポイントを押さえ、効果的なストレスチェック制度の運用を目指しましょう。
ステップ1:導入に必要な事前準備
まず行うべきは、社内の役割分担や進め方を決めていくことです。プロジェクト責任者を決め、関係者(人事・産業医・総務など)を集めたミーティングを実施し、導入目的やゴール、想定スケジュール、予算を共有します。
次に、要件定義シートを作成し、実施対象や回答方法、レポートの形式、フォローアップ体制、プライバシー対応などを整理します。
これらの条件を明確にしたうえで、複数のサービス事業者に見積もりやデモを依頼し、自社に最適なサービスを比較・検討していきましょう。
ステップ2:サービスの選定〜申し込みまで
次に、サービスの選定から申し込みまでの流れです。
まず、事前に洗い出した予算や必要な機能を基に、候補となるサービスをいくつか絞り込みます。それぞれのサービスについて、料金プラン、セキュリティ体制、サポート内容、導入実績などの情報を収集し、比較検討を行います。
可能であれば、無料トライアルやデモンストレーションを利用し、実際の操作感や分析レポートの分かりやすさなどを体験してみることもおすすめです。
候補サービスから見積もりを取り寄せ、コストパフォーマンスと機能のバランスを見極め、自社のニーズに最も合致するサービスを選定します。
契約締結前には、見積内容と契約書に相違がないかを改めて確認しましょう。契約期間、解約条件、料金改定のルールといった重要項目をしっかりと押さえた上で、正式に申し込み、契約を締結します。
ステップ3:実施前の準備
ストレスチェックの実施方法やサービス提供事業者が決定したら、具体的な実施準備を進めます。
実施期間、対象者、使用する質問票の種類(標準的な57項目版か、企業独自の項目を追加するかなど)、結果の通知方法、高ストレス者への面接指導の流れなどを盛り込んだ詳細な実施計画を策定します。
従業員への周知も忘れずに行います。ストレスチェックの目的、受検方法、結果の取り扱い(プライバシー保護の徹底)、高ストレスと判定された場合の相談窓口や面接指導の受け方などを、全従業員に対して再度丁寧に説明し、理解と協力を求めましょう。
Webシステムを利用する場合は従業員情報の登録やアカウント発行、紙媒体の場合は質問票の印刷や配布・回収方法の準備を行います。
ステップ4:ストレスチェック実施
準備が整ったら、計画に沿ってストレスチェックを実施します。Webシステムまたは紙の質問票を従業員に配布し、定められた期間内に回答してもらいます。
Webの場合は、従業員が各自のPCやスマートフォンから回答し、データは自動的に集計されます。紙媒体の場合は、配布・回収方法を明確にし、プライバシーに配慮しながら回収し、データ入力を行います(データ入力作業をできるサービスでは不要)。
ストレスチェックの実施期間中は、回答状況を適宜確認し、未受検者には回答期限前にリマインドを行うなどして受検を促しましょう。
ただし、ストレスチェックの受検は従業員の義務ではないため、強制にならないよう配慮が必要です。回収された個人結果は厳重に管理し、本人以外に情報が漏れることのないよう徹底します。
ステップ5:アフターフォロー
ストレスチェックの実施後は、適切なアフターフォローが不可欠です。個々の従業員にストレスチェックの結果を直接通知し、自身のストレス状態への気づきを促します。
結果の見方やセルフケアの方法に関する情報も、併せて提供するとよいでしょう。高ストレスと判定された従業員に対しては、産業医等による面接指導を受けるよう勧奨します。従業員から申し出があった場合は、速やかに面談の機会を設け、専門的な助言や指導を行います。
また、部署や職場単位で集計・分析した集団分析結果を活用し、職場環境の課題を特定します。結果を衛生委員会等で検討し、具体的な改善策を立案・実行することで、より働きやすい職場づくりを目指しましょう。
ストレスチェックサービスに関する、よくある質問(FAQ)

ストレスチェックサービスの導入や運用に関して、よくある質問と回答をまとめました。
制度の基本的な理解から、具体的なサービスの利用方法、費用面までの質問があります。自社に最適なサービスを選び、効果的なメンタルヘルス対策を進めるための参考にしてください。
Q1. ストレスチェックは全従業員が必ず受けなければいけませんか?
事業者には従業員50名以上の事業場でストレスチェックを実施する義務がありますが、従業員自身がストレスチェックを受けることは義務ではありません。
受検はあくまで従業員本人の意思に基づくもので、任意とされています。企業は従業員が不利益な扱いを受けることなく、安心して受検できる環境を整え、受検を推奨することが望ましいです。しかし、受検を強制することはできません。
Q2. 厚生労働省が提供している無料のストレスチェックツールはありますか?
はい。厚生労働省は「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」という無料のソフトウェアを提供しています。
このプログラムをダウンロードして、ストレスチェックの実施(質問票の印刷や数値評価)や結果の集計・分析(個人のストレス状況の判定や集団分析)などを行うことができます。
自社でストレスチェック制度を運用する際に活用できるツールですが、運用には専門知識や人的リソースが必要です。
Q3. ストレスチェック導入に使える助成金はありますか?
現時点(2025年5月)で、ストレスチェックの導入や実施に特化した国の直接的な助成金制度は基本的にありません
以前は、小規模事業場が産業医や保健師と契約してストレスチェックを実施する際などに活用できる「ストレスチェック実施促進のための助成金」がありましたが、この助成金は令和5年度をもって廃止されました。※1
最新情報は厚生労働省や各都道府県労働局のウェブサイトをご確認ください。※2
Q4. 紙とWebの両方で実施できますか?
多くのストレスチェックサービスでは、Web形式と紙形式の両方に対応しており、従業員の状況に合わせて併用することが可能です。
PCを持たない従業員には紙で、それ以外の従業員にはWebで実施するなどの柔軟な対応ができます。
ただし、紙とWebを併用する場合、それぞれの形式に応じた費用が発生したり、紙媒体のデータ入力作業などで追加料金がかかる場合があるため、事前に料金体系を確認してください。
Q5. 高ストレス者の判定基準は?
高ストレス者の判定基準は、主に厚生労働省が示している「数値基準」に基づいて行われます。
「職業性ストレス簡易調査票」などの標準的な質問票を使用した場合、各項目の回答を点数化し、その合計点や特定の項目の点数によって判定します。
多くのストレスチェックサービスではこの基準に準拠していますが、サービスによっては、より詳細な分析や独自の基準を選択できる場合もあります。
Q6. ストレスチェックの結果はどのように通知されますか?
ストレスチェックの結果は、プライバシー保護の観点から、実施者または実施事務従事者から受検者本人に直接通知されます。
通知方法は、封書による郵送、パスワードで保護された電子メール、専用のWebシステム上のマイページでの開示など、サービスによって異なります。
いずれの方法でも、結果が本人以外の目に触れることがないよう厳重に管理され、本人の同意なく企業側(人事担当者や上司など)に個人の結果が開示されることはありません。
Q7. ストレスチェックサービスは個人でも利用できますか?
ストレスチェックサービスは主に企業や団体向けに提供されていますが、一部には個人が単独で自身のストレス状態をチェックできるWebサービスやアプリも存在します。
これらは、簡易的なストレス診断やセルフケアのアドバイス提供を目的としていることが多いです。
ただし、企業で実施されるストレスチェックとは異なり、産業医の面接指導勧奨や職場環境改善といった法制度に基づく枠組みとは連動しない場合がほとんどです。
Q8. 従業員のストレスチェックの結果を知ることができますか?
個々の従業員のストレスチェック結果はデリケートな個人情報であり、本人の明確な同意がない限り、企業がその内容を知ることは法律で禁じられています。
結果は実施者から本人に直接通知されます。ただし、集団(部や課など一定規模の集団)ごとのストレス状況を分析した「集団分析結果」は、個人が特定できないように加工された上で企業に提供されます。
企業は、この集団分析結果を職場環境の把握や改善策の検討に活用できます。
Q9. ストレスチェックの質問項目を追加できますか?
多くのストレスチェックサービスでは、厚生労働省推奨の標準的な質問項目(57項目や80項目)に加えて、企業独自の質問項目を追加できるオプションが用意されています。
これにより、自社の特性や課題に合わせた、より詳細なストレス要因の分析や従業員満足度調査などを同時に行えます。
ただし、質問項目を追加する場合は、別途費用が発生することが一般的です。事前にサービス提供事業者に見積もりや内容を確認しましょう。
Q10. 産業医や医師面接の手配は依頼できますか?
多くのストレスチェックサービスでは、高ストレスと判定された従業員が医師による面接指導を希望した場合のサポートを提供しています。
具体的には、産業医の紹介や面接日程の調整代行、オンライン面談システムの提供などがあります。自社に産業医がいない場合や、産業医のリソースが限られている場合には特に有効なサービスです。
ただし、面接指導の実施自体は別途費用がかかる場合が多いため、サポート範囲と料金体系を事前に確認しましょう。
【まとめ】自社に最適なストレスチェックサービスを選ぼう
ストレスチェックサービスは、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防ぎ、いきいきと働ける職場環境づくりを推進するための有効なツールです。
サービス選定にあたっては、まず導入目的を明確にし、費用、機能、セキュリティ、サポート体制などを比較します。企業視点だけでなく、従業員が安心して利用しやすいかという視点も大切なポイントです。
本記事で紹介した選び方のポイントやFAQを参考に、自社の規模や業種、課題、そして予算に最も適したサービスを選びましょう。